第十七章 違えた道

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‡   数は決して多くない。けど、討伐協会から選抜されただけあって屈強な者達で固められている。   中心は協会幹部のメイデンさん、ゾルマさん、ゲルマさんだ。会長代理をしていたタイラさんがあの日に行方不明となり、とうとう会長及び副会長までもが存在を消してしまった。   しかし好機も訪れ、再び天獄の境界が開かれた。   戦力を大幅に失った討伐協会が打って出たのは最後の賭け。はっきり言ってしまえば弔い合戦に近い。   「貴方達まで連れて来てしまってよかったのかしら?」   俺とラルフの事らしい。ラルフは魔生物が相手だと知り、結構気合いが入っている。銀狼が片手を挙げてさらにその手を胸に当てる。多分任せておけと言いたいのだろう。   「姐さんはおそらくあの研究所にいると思うし、同じ目的って事で」   「そう。じゃあ、地上戦は頼んだわ」   メイデンさんが空に舞い上がり、ゾルマさんが合図をすることで低い咆哮と共に一斉に攻め上がる。   俺も乗り遅れるわけにはいかない。直ぐにラルフに跨がり、後に続く。   研究所がある場所の傍に三つの影が見える。一つは空へ飛び、一つが地上を駆け出した。   我先にと走っていた討伐協会の者達はある一定の距離で突如止まる。   その理由は肌で感じた。   「……羅刹の闘気」   間違うはずがない。俺も羅刹流の基礎は習っている。これは羅刹流を持つ者の気配。
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