第十七章 違えた道

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周りを観察するとメイデンさんは一対一で誰かと戦っている。それにゾルマさん達も相手は一体。   特別強い戦力には個との戦い、そして数ある戦力にはあの大男。   「俺も簡単にやられるわけにゃあいかないかんね」   炎と氷を生成し、混合させて破壊の高エネルギー体をつくる。うまく当たれば倒せる可能性もある。   ラルフも俺の準備に気付き、素早く相手の背後に回り込む。   「今だ!!」   大男の背中が見えたとき、高エネルギー体を打ち出した。   それは直線上に標的となる大男の中心へ進み、俺の目では確実に当たったように見えた。   「……!?」   実際に俺の攻撃は当たった。しかし相手は全くその効果が効いていない。傷を負ってもいないようだ。   『フン、デュランから貰ったやつがこんな形で役に立つとはな。以前の教訓が活きたか』   衣服が破けたかわりに胸当てのようなものが現れた。まさかあれだけで俺の攻撃を防いだのか。   いや、驚いている暇はない。こっちに来る。   「ラルフ!!」   地走りの氷撃で間合い間近で相手の足を止まらせ、その隙に追いついてきたラルフに乗る。   だが氷撃はすぐに壊され、大男はさらに走る。   でかいから動きが遅いと思いきや、歩幅が異常にある分速さがある。   『すばしっこい奴め。まとめて仕留めてやる』   足を止めた。距離を長めにとり、奴の様子を見る。あの呼吸法……羅刹流を使うつもりか。  
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