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「あれは……ラルフ、下ろして」
『あ?下りるのか?今はあぶねぇぞ?』
ラルフが服を噛んで引っ張ってくるが、大丈夫だと合図して少し後ろに下がらせる。
「ハアアアア……」
柔の構えをし、技を待つ。俺の見立てが本当ならば。
『フンッ!!』
大男の拳が地に刺さり、嵐に似た衝撃が広範囲に打ち出される。やっぱり剛地拳だったか。
「羅刹流、柔地掌」
気を高め、嵐の流れを見極めて。
「一気に打ち消す!!」
成功した。俺達がいる範囲だけだが、剛地拳の効果はなくなり、大男の姿が見える。
『ほぅ、儂の技を打ち消したか』
剛地拳は羅刹流の中でも難度の高い技だ。俺は基礎しか知らないから使える技ではない。
だからこそおかしい。羅刹流の高位技は正当継承者である姐さんしか知らないはずだ。我流では決して教えられない。
「流人!!」
「姐さん!?」
最強の味方が現れてくれた。やっぱり近くにいたんだ。
これで前方と背後で囲む体制となる。
大男は俺と姐さんを交互に見て唸りながら顎に指を添える。
『お前達……他の人間とは違うな。儂と似たモノを感じる』
急に戦いが止まる。大男は何か考え込んでいるみたいだ。
……あの仕草、似ている。顔も体格も違うが、雰囲気だろうか。昔の、それこそ隠力連合時代総長だった頃のおっさんと重なる。
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