第十七章 違えた道

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「あれは……ラルフ、下ろして」   『あ?下りるのか?今はあぶねぇぞ?』   ラルフが服を噛んで引っ張ってくるが、大丈夫だと合図して少し後ろに下がらせる。   「ハアアアア……」   柔の構えをし、技を待つ。俺の見立てが本当ならば。   『フンッ!!』   大男の拳が地に刺さり、嵐に似た衝撃が広範囲に打ち出される。やっぱり剛地拳だったか。   「羅刹流、柔地掌」   気を高め、嵐の流れを見極めて。   「一気に打ち消す!!」   成功した。俺達がいる範囲だけだが、剛地拳の効果はなくなり、大男の姿が見える。   『ほぅ、儂の技を打ち消したか』   剛地拳は羅刹流の中でも難度の高い技だ。俺は基礎しか知らないから使える技ではない。   だからこそおかしい。羅刹流の高位技は正当継承者である姐さんしか知らないはずだ。我流では決して教えられない。   「流人!!」   「姐さん!?」   最強の味方が現れてくれた。やっぱり近くにいたんだ。   これで前方と背後で囲む体制となる。   大男は俺と姐さんを交互に見て唸りながら顎に指を添える。   『お前達……他の人間とは違うな。儂と似たモノを感じる』   急に戦いが止まる。大男は何か考え込んでいるみたいだ。   ……あの仕草、似ている。顔も体格も違うが、雰囲気だろうか。昔の、それこそ隠力連合時代総長だった頃のおっさんと重なる。  
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