25人が本棚に入れています
本棚に追加
いやいや、偶然だ。羅刹流を使っているからそう見えただけだろう。おっさんは五年前に既に死んでいる。
「今が絶好の瞬間!!」
もう一度高エネルギー体を生成し、今度は下腹部辺りに的を絞る。
「流人!!待て!!」
あとはタイミングという微調整の段階で突然姐さんは俺と大男の間に入る。
「姐さん?」
「戦いの時において悠長に話す時間はないかもしれない。だが私はこの魔生物にどうしても問いたい事がある」
姐さんも大男の奇妙な様子に気付いたのかもしれない。惜しくはあるが、持続も隠力を消費する。エネルギー体を消失させた。
しかし大男はまだ考えているのか。
『ガデス……という名前らしいな。お前は先程使った技をどこで覚えた?』
『……記憶にない。儂は一ヶ月前に生まれた生物。だが、何故だ?お前達とはどこかで会っている感覚がある』
『お前は……いや、貴方はまさか』
「いきなり走り出すから何かと思ったら、そういう事だったんだね」
研究所の方角から金と黒が混ざった髪の痩身の男が悠然と歩いてくる。
しかも今のは羅国語?
「姐さん、誰?」
「デュラン。魔生物を造った張本人だ」
こんな普通の男が?というか討伐協会にとっては最大の敵じゃないか。
「君達は知らなかったね。ガデスはとある遺伝子を組み込んでいる。羅国では最強と謳われていた者の遺伝子」
「嘘……だろ?そんな……」
でもそうなると全てが納得がいく。羅刹流が使えたのも、あの仕草も。
だけどこんなのって……。
最初のコメントを投稿しよう!