第十八章 彼の心

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蓮花は討伐協会に引き返す事を助言するかもしれない。そうなっては困る。   「計画通り吉宗を復活させるが……」   「いいよ。彼を殺す事を虚言で試したんだけど、ロゼは駄目だね。あの感じだと殺せば力が暴走するよ。思い違いだったね。ロゼは以前よりも彼への依存度が異常に強くなっている。逆に早くしないと彼女の心が壊れてしまいそうだよ」   投げ渡しで小さな鍵を貰う。それを首につけられたわっかにはめ込み、デュランの音声認識で外れる。   「取引は終了だよ。後は君の意思次第さ」   デュランは洞察力が凄い。どんな対応をすれば上手く動かせることができるかを知っている。   「隠力者がこの世界で対等に生きられるのならば協力する。俺はあんたにそう言った。まだこちら側だ」   「それは助かるね。君の力は私も是非欲しい。利害一致の協力関係は継続だね。勿論、今度は取引なしさ」   「そいつはありがたい」   そこで話を切り、再び研究所の棟に入って地下へと走っていく。   「む……」   吉宗がいる治療室は案の定扉が閉まっており、鍵もかけられている。ヴァンサー製の扉と壁なのでただの爆発では傷すらつかない。   右手に水素と酸素を集中させ、一点集約させる。そして足を踏み込んで掌底で鍵をかけている部分を突き飛ばした。   僅かな面積にしか及ばなかったが、そうしなければクロに当たる可能性もある。   なんとか上手く狙った所だけを破壊することに成功したようだ。小さな穴が開いている。 そのまま扉を強引に押し、中へ入り込んだ。
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