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あの時の感覚に似ている。オロチ、コクリュウ、ラスターが集った時の私。
闘刃に手をかざされ、瞳を閉じて再び開いた瞬間に世界は変わった。
焼けて燃え盛る街の中。私はそこに立っている。建物に触れることはできない。あくまで彼の精神の中だからだろうか。
自分の翼は生えているが古代生物は呼び出せない。力も制限されているようだ。
「……誰かいる」
黒い影が三つ。微かにだが見えた。とりあえずそれを追ってみる。
街の中は酷い有様だ。幾多もの人間の死体が転がっている。炎に焼かれて焼失した数も考えると相当なものだろう。
『いたぞ!!向こうだ!!』
生き残っている人間達が武器や銃火器を手に走り回っている。追い掛けられているのは先程見た三つの影。
それらは途中で三つに別れた。正確には二つが分離し、一つが止まった。
『もう逃げ場はねぇぞクソガキ。大人しく殺されときな』
「あれは……」
面影がある。まだ歳は十代前半くらい。身長はこの頃から高かったのだろう。
『こりゃまぁ十一才の子供に大人十数人。容赦ないね』
彼だ。武器も服装も違っているけどわかる。これは彼の過去の記憶だろうか。
『死にさらせ!!』
大人側は一斉に銃火器を撃つ。辺りを撃ち壊すくらいの威力が彼に撃ち込まれる。
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