第十八章 彼の心

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また周囲が変化する。次は……どこかの家の中だ。彼の他に闘刃、それとおそらくだが蓮花もいる。見ただけで重苦しい雰囲気が漂っていることがわかる。   『ルナ姉さん……クソ!!俺があの時姉さんについていれば逃がしてあげられたのに』   『結果論だ。どちらにしろルナ姉さんは無茶をする。理解できない。何でそうまでして人間との共存を』   『そんな事を言っている場合ではない!!隠力連合の戦力もかなり削られた。ルナ姉さんも重傷で動けない。私達以外にも若い者を戦に出すらしい。師の命令だ』   ルナ?確か彼らの育ての親だった隠力者……と記憶している。   ……そうか。蓮花が彼の症状について同じだと言っていた。それがこの時。   『奴らは陸上兵器だけじゃなく飛行兵器まで使ってきている。本気で全て残らずに殺すつもりだ。どうする、闘刃?』   『……要人暗殺。ルナ姉さんは反対していたけど、終結させるにはそれが一番早い。数では不利なんだから少数を活かす。吉宗、できるか?』   『全然イケる。ルナ姉さんを騙した奴らを許すわけにはいかない。隠力を駆使して帝国を壊滅させる』   『私と闘刃は囮で帝国を外側から攻める。宗吉、総務大臣以外は殺して構わん。総務大臣だけは交渉を持て』   ここで場面が変わり、景色がまた変化していく。   大きな建物の中。あらゆる場所が広く、研究所よりも高い。   状況から考えてここが帝国の本拠地か。  
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