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「闘刃?お前……」
「吉宗はガデスの圧倒的な力を見て何も感じなかったか?あの力を持ってすれば人間を支配することができる。隠力者は晴れて本当の意味で自由になれる」
「う……嘘だろ?」
そういいながらもルナ姉さんの大剣を取り出す辺り、親友とは戦えないなんて甘い戯言はなさそうだ。
クロも戦う意思を見せている。
「しかしまぁ、幼なじみのよしみだ。このまま引き下がるなら何もしないでおこう」
「……クロ、逃げるぞ」
「え?待っ……」
強引にクロの手を引っ張り、吉宗は闇の中へ消える。クロはここで戦うような姿勢だったが、吉宗は俺の事をわかっている分冷静だったか。
「のぞき見はよくないな、デュラン」
扉から影が一つ現れる。多分そう来ると思っていた。
「おや、バレバレか」
「気配が近くで突然消えればわかる。それより、吉宗は敵になってしまった。これからあんたの命を狙うそうだ」
油断もスキもない奴だ。そして意外に用心深い。
「聞いていたよ。そう上手く事は運ばないって事だね。でも、君はなんで始末しなかったんだい?私は君を冷徹な隠力者と認識していたんだけど」
「この場所は俺には不利だ。吉宗は一度研究所に侵入している。それに、あんたを守りながら戦うとなると骨が折れるな」
それだけじゃない。あいつは俺と戦うとなると奥の手を使ってくる。あれは俺の結界が通じない。実際のところ、吉宗とクロを同時に相手をするのは危険が大きい。
「おや、見捨てないのかい?」
「協力しているうちはしない。……外は?」
「そろそろ決着がつくんじゃないかな?」
やはり討伐協会はやられるか。しかしもし吉宗が向こうに流れるならば。
戦局は変わるかもしれない。
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