第十九章 昨日の仲間は今日の敵

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‡   擬似空間を走りながら俺達は研究所の出口へ急いだ。闘刃がデュラン側につくのは驚いたが、俺達はもう子供ではない。考え方で指針が変わることもある。   「宗吉、どうして戦わなかったの?私達なら……」   「あの時、扉の近くにデュランがいた。闘刃が指の動きで教えてくれたんだ」   まだクロはデュランに抗える力を持っていない。いや、ひょっとすればあったかもしれないが、その『かもしれない』をあんな状況下で行うのは無理がある。   「俺はクロがデュランを確実に倒せる手助けがしたい。それにはやっぱり調査は必要だ。今戦うのは賭けになる。すまん、わかってくれ」   「謝らないで。私も賭けみたいな戦いは好きじゃない。……これからどうするの?」   「討伐協会に加勢しよう。俺は中から、クロは外からで」   一ヶ月眠っていても頭に研究所の構造は記憶は残っている。自分の能力に感謝だな、こりゃ。   「つまり?」   「ミヤコが研究所内にいる。多分幽閉されているんだ。あの時、意識を失う直前にザードがそんな事を言っていた。ミヤコならデュランについての情報を持っているはず」   勿論どこに幽閉されているかはわからない。ただ、こういう行動をとる時は俺だけの方がやりやすい。   一階まで上がり、外へ出れる扉まで見えた。   「一旦お別れだ。なんか、すまないな。せっかく会えたのに」   「心は繋がっているから大丈夫。……宗吉、ありがとう。私、また強くなれた」   「じゃあ、またな」   手を離し、クロを現実空間に戻す。背中を振り返ったりはしない。クロは俺の相棒だから。  
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