第十九章 昨日の仲間は今日の敵

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一見対等なルールに聞こえるが、その実全くそうではない。   単純な戦闘能力なら自分の方が上だと俺は思っているし、闘刃もそう考えていると思う。しかし、それは第三者を敵にした場合の話だ。   「どうした?ルールに不満か?俺は単純な殺し合いでも構わんが……」   その瞬間だ。俺の真横、十センチくらいを何かが通った。熱い何かが。   それは後ろの壁に当たり、爆破して人一人くらいの穴を開ける。   闘刃は銃を片手に微動だにしない。   「殺し合いでは俺には勝てん。本当の意味で冷酷で冷徹にならない限り」   あの目。己以外の全部を裏切るものと仮定し、自分以外を信用しないと決めている。   あれは俺や蓮ではできない。   けど、かと言って手を抜けばルールに則ってやられる。それに、俺にも背負うモノがある。   大剣を両手で握り、一足で距離をつめる。   間合いなど関係ない。剣の切り上げと同時に隠力を発動させ、斬撃だけを間合いに入らせる。   結界に防がれたのは計算の内だ。またさらに一足し、空いた手を闘刃の腹部へ伸ばす。   それを素早く横に避けられ、だが方向まで予測していた俺は記憶を頼りに座標を特定し、次の突きを空間移動させる。   「かかったな!!」   空間移動の一瞬、闘刃は身体全体を纏う結界のために硬直し、俺の無空撃の回避が遅れる。  
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