第三章 いざ万国へ

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彼女が足を止めたのは職員室だった。執行委員会の顧問をしていると聞いていたから向こうかと迷ったんだが、まだこっちにいるらしい。   「じゃあ私は執行委員会があるので失礼します。おねーさん、さようなら~」   彼女も執行委員だったのか。名前くらい聞いておけばよかった。   「さて……」   いざ職員室の扉を開けようとすると、あちらから扉が動き出す。   「むぎゅっ」   開けた途端に私の胸に頭が当たる。私は身長百七十だから余程相手は小さいと……   「あ、すいませ……」   「久しいな、若菜。背の低さは相変わらずか」   「え、れ、れ、れ、蓮さん!?」   若菜と会うのは若菜達の卒業式以来、二年ぶりになる。姿形に変化はないみたいだ。   彼女の驚いた声で学園の先生達がぞろぞろと集まってくる。帰郷した気分もいいのだが、それどころではない。私は若菜を連れ、旧学園長室へ向かうことにした。彼女が言うにはそこが誰もいない所らしい。   「学園長は保健室にいますからね。専らここは空き部屋状態ですよ」   「木葉学園長は保健室を居室にしているからな。とうとうこっちを置物部屋にしたか」   定期的に掃除はしているようで、埃などはない。ソファーも巌総務大臣がいた頃と同じだ。   「それにしてもびっくりしました。蓮さんが学園に来るなんて。あ、何なら執行委員会を見物しますか?私顧問なんで」   空元気なのがよくわかる。案内してくれた彼女が言っていた通りだ。   「……若菜、単刀直入に聞く。一緒に万国に行かないか?」   「…………え?」  
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