第二十章 ミヤコ救出作戦(前編)

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だとしたら闘刃の真意が読めない。本当はデュランの味方ではないとか?しかし闘刃が話していた『隠力者の自由』は昔から言っていた事だ。それに俺達の中で一番人間を憎んでいたのが他でもない闘刃である。デュランに協力するには自然な理由がある。   「……あ、そういや流人や蓮がこの国に来たわけを聞いてなかった」   魔生物の事だろうか。そうなると羅国や森国にも万国の状況が知れ渡っていることに。   「彼女達は宗吉や闘刃の行方を捜しに来たらしい。魔生物の話はもう万国内では収まりきれていないと思う」   「そっか。……羅国には知らせておいた方がいいかもな」   俺が帰国するのもいいけど、クロを万国に残すのは気が引ける。かと言って流人も重要な戦力だし、誰かが抜けると困る……か。   「その帰国、俺が行きますよ」   扉が開いて流人が顔を出す。話を盗み聞きしていたようだ。   「まずは久しぶり。元気だったか?」   「俺は基本何も変わってませんよ。現在は帝国に所属しています。……実は今回の入国、蓮さんの指令なんです」   「あいつの?」   四年間の間で蓮はかなり帝国の中で上の地位になってたって事か。   「はい。でもこんな結果になってしまって……。帝国に報告しなければいけません。俺は帝国兵です。処分も考えるかもしれません」   「処分って……」   いや、あった気がする。帝国法の隠力者に関する記述で、確か帝国の属する隠力者が命令を背き、反逆と見なされた者は。   「……姐さんも覚悟の上でしょう。俺は帰国します。宗吉さんはクロさんの傍にいてあげて下さい」   四年か。流人ももう子供ではなくなっている月日にしては妥当だ。   動くな、これは。国家間の争いが起こる。間違いなく。
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