第二十章 ミヤコ救出作戦(前編)

6/11
前へ
/457ページ
次へ
「……本日未明、デュラン達はある作戦を実行するらしい」   「作戦?」   「羅国に正式に魔生物を公表するようだ。そして手始めに羅国の首都、ギルス帝国の侵略を宣告する」   「なっ!?」   持っていたカップが手からすべり、中身が床に零れる。しかしそれどころではない。   デュラン達が羅国に?   「どうして早くそれを教えてくれなかったんだ!?」   「闘刃からの口止めだ。宗吉には一週間話すなと。だが安心しろ。流人にはこちらに戻ってきた直後に通達してある」   だから流人は自分から申し出て。もしあの時に今の事を聞けば俺も……   自分で考えて気付く。ルガードも俺の様子に小さく頷いた。   「おそらく闘刃はお前を万国に留まらせたい理由があるのだろう」   「理由……」   俺が羅国に行くと不都合な事があるのか?それとも万国にいる事で何か都合良い事があるのか?   「……あった。隠力の気配だ」   羅国に行くとなると隠力者である闘刃、蓮を連れて行く可能性は高い。ガデスはわからないが、奴は俺が正門に現れた時、初めて俺の気配に気付いた様子だった。多分、隠力の感知はできないタイプだろう。   「ルガード、すまん。会計頼む。クロには適当にごまかしておいてくれ」   席を立ち、人影のない所まで行って俺は直ぐに空間移動で研究所へ急いだ。  
/457ページ

最初のコメントを投稿しよう!

25人が本棚に入れています
本棚に追加