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「……本日未明、デュラン達はある作戦を実行するらしい」
「作戦?」
「羅国に正式に魔生物を公表するようだ。そして手始めに羅国の首都、ギルス帝国の侵略を宣告する」
「なっ!?」
持っていたカップが手からすべり、中身が床に零れる。しかしそれどころではない。
デュラン達が羅国に?
「どうして早くそれを教えてくれなかったんだ!?」
「闘刃からの口止めだ。宗吉には一週間話すなと。だが安心しろ。流人にはこちらに戻ってきた直後に通達してある」
だから流人は自分から申し出て。もしあの時に今の事を聞けば俺も……
自分で考えて気付く。ルガードも俺の様子に小さく頷いた。
「おそらく闘刃はお前を万国に留まらせたい理由があるのだろう」
「理由……」
俺が羅国に行くと不都合な事があるのか?それとも万国にいる事で何か都合良い事があるのか?
「……あった。隠力の気配だ」
羅国に行くとなると隠力者である闘刃、蓮を連れて行く可能性は高い。ガデスはわからないが、奴は俺が正門に現れた時、初めて俺の気配に気付いた様子だった。多分、隠力の感知はできないタイプだろう。
「ルガード、すまん。会計頼む。クロには適当にごまかしておいてくれ」
席を立ち、人影のない所まで行って俺は直ぐに空間移動で研究所へ急いだ。
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