第二十一章 修業の刻

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闘刃君が去ってどのくらい経ったのだろう。ここは時間の感覚を忘れさせるからわからなくなる。   「イーターさん、私ってこの場所に来てからどれくらい?」   「あ?そうだな……半年?一年?くらいか。まぁちったぁマシな隠力者にはなったな」   そうかな。私がイーターさんから教えてもらった事と言えば流槍術くらいだし……。   「考えながら戦うってのは経験がモノを言う。色んな戦いを知らんお前にはまだこれからだ。しかし流槍術をこの期間で使いこなすのはたいしたもんだ。隠力に感謝しとけよ。つ~かいつまで寝てんだコラ」   息を整えているうちに眠たくなったみたいだ。仰向けの状態から立ち上がり、横に置いてある槍を拾う。   「普通の剣も飽きた。赤竜剣(レッドドラゴンブレード)を使うから本気でこい。一撃貰えばお前は致命傷を負う。避けて一発入れてみろ」   初めてイーターさんが自分の剣を使う。赤竜剣と言うのか。何だろう。あの剣からまがまがしい悪意を感じる。   「気付いたか?赤竜剣は俺の相棒だ。コイツは古代七竜の一匹でな、肉体を失ってもなお生きる事を望んだからヴァンサーに精神を組み込ませて生成させた」   試すかのように軽くその剣を横に振る。その瞬間に赤い剣閃が斬撃に乗って放たれる。私は直ぐさま隠力を脚に集中させ、高い跳躍でかわした。   下りた時にも微かに熱を感じる。数千、いやもっとあるかもしれない。防御云々ではない。当たれば終わる。イーターさんが言ったように。  
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