第二十一章 修業の刻

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隠力を脚にもっと集中。残像が見えるくらいに。   「分身……高速移動も様になったか」   五体分身から五角形で囲み、一斉に突く。真上に跳んだのを見て下から突き上げようと試みる寸前で足を止めた。   赤竜剣のアレが来る。隠力を槍に込め、相手に投擲すると同時に熱閃を避ける。   私の槍は赤竜剣の剣身に阻まれ、上手く弾かれた。それを隠力で引き寄せ、手元に戻す。   「電圧が通じてない……?」   当たっただけでも間接的に痺れを与えるはずが、イーターさんにその現象が見られない。   「悪い癖が出てるぜ」   動揺して間合いへの接近を許してしまった。反撃するのを考えず、一瞬の跳び出しで距離を開ける。   あれは細かい動きで回避してはいけない。マグマのような熱で焦がされる。   「小さいだけあってスピードはあるか。お前の唯一の長所だな」   余計なお世話だと思うが、確かに私の身体は隠力と相性がいい。その代わりに力がないから速さでそれを補うしかない。   「お前の隠力における弱点が露呈したな。ずばり、お前の電圧は俺にとってたいして効かない」   「どうしてですか?」   「肉体構造の違いだ。古代生物は大体がヴァンサーの組織を内在している。ヴァンサーはあらゆる破壊エネルギーに耐性がある。ルガードと戦った時に感じなかったか?」   そういえば、あの時怯ませることが出来たのは炸裂弾に電圧を合成したモノを撃ったからだった。  
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