第二十一章 修業の刻

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「だがお前のその槍もヴァンサー製だ。あれくらいの威力なら損傷を与えられる。どういう事かわかるか?」   「武器で防御されたら効かないって事ですか?」   「そういうこった。お前は力がない。別に非難してるわけじゃねぇぞ。隠力者ってのは肉体的には人間だ。大多数は力がない。けど、お前の知り合いには古代生物を倒せた奴もいるだろ?」   闘刃君の事だ。ヴァンサーをも破壊し、ナノレベルに近い段階まで分解させたあの技。   でも闘刃君でさえヴァンサーを打ち破るためにあんな接近を強いられた。一歩間違えれば反撃されて……。   「闘刃って奴か。ルガードを再生を遅らせるくらいにやるとはたいした奴だぜ。おそらく隠力で片手に結界を集め、水蒸気爆発のエネルギーを相手にだけに与えるようにしたんだろう」   今思うと単純な破壊エネルギーが私と違い過ぎる。あんな技、ルガードさんじゃなかったら一発で終わっている。   「……気を付けとけよ。闘刃はクソガキの隠力を継いでいる。それだけでも充分やばいんだが、俺がルガードから聞いて驚いたのは、あの破壊攻撃を躊躇いなくしてきたところだ」   「え?でも相手が相手ですし……」   あれ以外でルガードさんを倒す手段はなかった。私は特に思うことはなかったけど、イーターさんは違うみたいだ。   「クソガキは馬鹿がつくぐらいお人よしだったから不安に感じなかったが、闘刃は俺が見る限り冷徹な奴だ。下手したら破滅するぞ」   「破滅ってそんな大袈裟な……」   「あの隠力を扱うには強い精神力が必要だ。だが闘刃は少し悪い意味で精神が強い」   何なんだ?精神力の強さに悪いも良いもない気がするけど。  
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