第二十一章 修業の刻

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早く修業を再開したい気持ちもあるが、闘刃君の事だから話の内容が気になる。   「あの男の目を見て思った。あれからはいつ裏切られても構わない異様な意志を感じる。まるで自分以外を信用していない目だ。クソガキとは正反対だな。逆の強みと弱みを持っている」   「…………」   イーターさんは事実を言っている。闘刃君自身が認めている事だ。弁解のしようがない。   「お前はあの男の仲間だろう?怖くないのか?」   「そんな感情はありません。私は信用されたいとも信頼されたいとも望んでません。ただ、闘刃君の傍らに居続けるためには力が必要だから、強くなりたいんです」   それが闘刃君を助けられる唯一の方法。   「……変な奴だ。あの男が好きなのか?」   「そうじゃなきゃ、会いたいがためにこの国に来ないですよ」   自分で言って笑ってしまう。私は会いたくて来たのに、ここにいる。   でも今は楽しい。強くなっていくのが実感できる。   「お、やる気が上がったな」   「早く続きを。次は当てます」   隠力を全開放し、最大生理限界を発動させる。相手が対応できないくらいに速く、速く、速く。   初撃は当たらない。絶対に防がれる。だから間合いに来た瞬間に相手の攻撃を待ち、細かい足捌きから背後を取る。そして槍をその死角から私はあえて槍を至近距離から投げた。それと同時に足払いをする。   だがこれでも当たらない。イーターさんは背後に来る槍を身体を後ろに捻って回避し、さらにその捻りで手を地につけ、腕の力だけで足払いを逃れる。  
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