第二十一章 修業の刻

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それに雷竜の力を借りる事が奥義になるというのも意味がよくわからない。   「雷竜の雷の力は尋常じゃない。人間ならば使おうとしただけで稲妻を身に受け、死んでしまう。しかし、電圧を操れるお前ならば制御できるはずだ」   「それならヴァンサーも?」   「あぁ。古代魔生物にも通じる。ま、お前の隠力だと古代生物の力を借りなければ接近戦で対等に戦えないな」   それほどまでに古代魔生物というのは強いのか。   ……確かに、私の槍は私が振り回せられるくらいに軽い。極力ヴァンサーを薄くして造られたから、扱いやすい分打撃や斬撃に重みがない。速さで補うこともできるけど、それは対ヴァンサーでは自らへの衝撃力の上昇に繋がる。   肉体が人間であるため、これは解決できない問題だ。   「なんだ?誰かの力を借りるのは不満か?」   神妙な表情を見たからか、イーターさんはそんな事を言ってきた。   「いえ、古代魔生物と人間との強さの差がありすぎて……」   「当たり前だ。太古では古代生物にとって人間は家畜以下の存在だったんだぞ。お前達が言う虫みたいな感じだ。食べるわけでもないが、何気ない行動で殺してしまう。ちっぽけな生き物だ」   「じゃあ何で古代生物は人間に自らの力を?」   隠力が古代生物からの隔世遺伝によるものだとイーターさんは言っていた。でもそれは何らかの意図的な働きがないと起こらない。
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