第二十一章 修業の刻

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「人間の知能が古代生物と同等だと知ったからだ。俺達の縄張り争いの中、人間は耐え忍んで賢く生きていた。だから古代生物の血を分け与え、力を授けて部下にしたのだ。その影響だろう」   「私達隠力者は古代生物の部下だったんですか?」   「大体はな。中には対等に戦える奴もいた。シャルナ、ラクシード、アルストム。懐かしい名前だ。古代生物と同じ強さを持っていた人間はコイツラぐらいだったな」   ラクシードって、さっき言っていた古代七竜を統治していた……人間!?いや、隠力者か。   「昔話もこれくらいにしておくか。雷竜はお前の力をまだ知らない。その強さを認めれば貸してくれるだろう」   あまり頼りにしては駄目だということか。   刃を戻し、棒となった槍を背中に担ぐ。イーターさんとの修業もこれで終わり。遅れてしまったけど、ようやく外界に出る事ができる。   「……イーターさんはこれからどうするんですか?」   「俺はルガードと違って外の世界には興味ない。ここで悠久の刻を過ごすだけだ」   ついてこいと言わんばかりにオウルイーター内の奥へ歩き出す。忘れてたけど、この場所はイーターさんの中だったんだな……。   イーターさんはあぁ言ってたが、寂しくはないのだろうか。私がいなくなれば、今度は正真正銘孤独になる。ルガードさんとは入れ替えで来たのだから、独りに慣れているわけでもなさそうだし。  
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