第二十一章 修業の刻

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私がさっきいた場所は修業場と呼ばれる広い空間。ほとんどそこにしかいなかったので、イーターさんが向かう先は全く未知の領域になる。   「別れる前に、一ついいですか?」   「何だ?武器はそいつしかやれんぞ?」   「違いますよ。……ルナさんはどうしてこの場所にいたんですか?」   一瞬足が止まり、一度息を吐いてまた動かす。   「俺は材料集めが面倒だから何でも吸い込む巨大な装置を造った。ちょうど古代生物の時代が終わる直前だな。不要なモノはルガードは処分する。そんなある時、ルガードが俺に妙なモノを渡してきた。生後一年も経っていない赤ん坊だ」   「その赤ん坊が……」   「……捨て子だった。ルガードの所まで落ちて助かっていたのは半分奇跡で半分は隠力のおかげだ。ただの人間なら殺していただろう。俺達の血を引く人間だから育てた。そうは言っても気まぐれに近い。長い年月が経っていたから暇になっていた」   そういえば、私が落ちて無事だったのもわからないままだ。やっぱり闘刃君の隠力のおかげだったのかな?   「クソガキは戦友だったシャルナに似ていた。だから何となく『ルナ』と名付けた。クソガキは順調に育っていったが、十五歳になった時に外界に行きたいと言い出した。自分の力を誰かのために役立てたいからと」   そこで立ち止まり、私に道を開ける。行く先には僅かばかりに小さな光が見える。  
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