第三章 いざ万国へ

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‡   蓮さんが学園に来てから二日後、私達は万国行きの船に乗り、羅万海を渡った。   木葉学園長は意外にもあっさりと認めてくれたものの、やっぱり担任を持っていたので私も心苦しさはあった。私のいない一ヶ月間は副担任である理絵ちゃんがやってくれるそうだ。   印象的だったのは杏里の一言だった。   『先生、私寂しいけど先生が元気になってくれるなら頑張るよ。だから元気になってね』   私は再認識した気がする。闘刃君も、学園の生徒も大事なんだなって。   「な~に物思いに耽っちゃってんの?故郷が恋しくなった?」   流人君はどこでもいつでも底無しに明るい。ちなみに理絵ちゃんから生きて帰って来なかったら殺すと言われたらしい。なんという矛盾。   「んー、そうかもね。国を離れるのは初めてだし」   「俺もそう。知らない土地って怖いし。魔生物ってのもちょっと。でも闘刃さんと宗吉さんは助けたいし、これも仕事だかんね」   海をこうして眺めるのも初。今日は初めて尽くしだ。   泪から酔いを心配されたけど伊達に修業を重ねていたわけじゃない。既に乗ってから数時間経過している今も問題はない。   「あんまりはしゃぐんじゃないぞ。私達は送ってもらっている身だからな」   「ういっす。そういえば姐さん、あとどんくらいで着くんですか?」   「時差があるからな。向こうに夕方過ぎ、時間的にはもう半分といったところか」   羅万海の中を真っ直ぐ最短距離で進んでいるらしいし、じゃあ現在位置はちょうど万国の領海に入った辺りだろうか。  
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