第二十ニ章 魔生人サヤ

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第二研究所は最初の所よりもはるかに広い。あの三メートルはあるガデスさえも普通に通路を通れるのだから驚きだ。   元々はガデスが不自由ないように造ったとされる研究所。とデュランが言っていたが、果たして本当なのかどうか。   「それにしても君も魔生物の研究員として協力してくれるなんてありがたいよ。どういう意識変更だい?」   「魔生物は奥が深い。それに隠力との相性も悪くない。隠力学者としては興味ある部分だ」   デュランは万国内で魔生物を従える存在として有名になっているが、本来は研究所所長であり、魔生物に関わる様々な物事を調査する人間だ。理想郷の事も大事らしいが、本当は研究に没頭したいのが本音だと言っている。   「究極の魔生物の生成は成功したし、今は新たな魔生人を造る研究を進行しているよ。試作品、見るかい?」   大きめのガラス管の中に人間?が入っている。少女くらいの大きさだ。青……というよりは水色に近い髪色をしている。   「前から思っていたんだが、魔生人は女型、特に少女ばかりだな。これは何でだ?」   まさか宗吉のような変態思考ではあるまい。   「男性型は生成が難しい。タイラは偶然できた魔生人だ。それでも浸蝕してしまった。魔生人はできれば限りなく人に近い容姿であって欲しい」   「つまり、完成しきれていないから今は女性型のみ?」   「まぁね。それと、少女なのは古代生物が人と親和する際、成長を糧にして現世に姿を現す事ができるからさ。成長期を過ぎた女性ではそれができない。だから魔生人は容姿が変わらない。魔生物を喰らう限り」   なるほど。やはり意味はあったわけだ。魔生人は成長期を犠牲にして古代生物との融合を果たす……  
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