第二十ニ章 魔生人サヤ

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ガラス管が開き、一歩前に出る。   「な……な……」   「ん?」   「何で裸なのよ!?この変態!!ロリコン!!スケベ野郎!!」   顔を真っ赤にして両胸と下半身を隠す。俺とデュランは半ば呆然としてその様子を傍観していた。   「何だこれは?」   「さぁ?この魔生人はシーザやクロと違ってホムンクルスじゃないから私もよくは。志願して魔生人になった稀有な例なんだ」   志願した?自ら進んで魔生人になる人間がいるのか。   とりあえず見ているだけで寒そうなので自分の着ているジャージを少女に渡す。   「あ、ありがとう……」   一応素直に礼は言えるようだ。殴ってくるのかと思って結界を張っていたが、取り越し苦労だった。   「デュラン、この魔生人の衣服は?流石にこのままで研究所内を歩かせるわけにはいかないだろう」   「確かこの部屋に一式を置いてたような……あった。ほら、これ」   部屋の隅に置いていた服を渡され、それを少女に受け渡す。   「む、むこう向いてなさいよ。恥ずかしいんだから」   十歳程度にしか見えない少女の裸体などどうでもよいが、反抗されるのは面倒だ。こちらも逆方向に身体を動かし、着替え終わるのを待つ。   「……どういった経緯であんな少女を見つけたんだ?」   「魔生界にも人間はいるんだよ。ほとんどは魔生物に殺されてるけどね。サヤはその生き残り。ま、親の仇ってとこじゃない?」   魔生物に親を殺された人間の孤児か。強くなるために魔生人への実験台として自ら進んだ……と。
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