第二十ニ章 魔生人サヤ

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計算高い奴だ。元を辿ればデュランが放った魔生物。それを利用して新たな魔生人を造り出している。   下級や中級の魔生物を野放しにしている理由はそういうことも含んでいるに違いない。   「お、終わったわよ」   振り返ると何とも言えない格好をしている。俺が森国で医者になるために大学に行った時に見かけた事がある服装だ。看護服とでも言うのだろうか。向こうではナースユニフォームと呼ばれていた。   しかしよく眺めてみると微妙に異なっている。ラインが入っていたり、多少戦いに特化したように改造されていたりしている。   「あんまりジロジロ見ないでよ……それと、これ」   ジャージはもういらないらしい。濡れているので丸めて片手に持つ。   「あんたは誰?こっちは知ってる。デュランでしょ?」   「俺は闘刃。お前の教育係だ。しかしデュラン、具体的に何を教育するんだ?」   俺が自信を持って教えられる事は隠力くらいしかない。が、サヤは隠力者ではない。   「生活する上で必要な事と、基本的な戦い方かな。魔生物の喰らいについてはシーザに聞く方がいいかもね」   そうか、この少女も魔生物を。それも覚悟して魔生人になったということか。   いや、同情など感じない方がいい。この少女の気持ちはこの少女にしかわからない。
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