第二十三章 ミヤコ救出作戦(中編)

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初日、二日目と順調に飛ばしていた。魔生物は陸にいた時にたまに出くわしていたが、感覚が研ぎ澄まされたクロのおかげで安心して眠る事ができていた。   クロは最近調子がいいらしい。俺が無事でいてくれるだけで大丈夫だとか言っている。   しかし今日、三日目に事は起きた。   「……お?」   いつものように景色が暗くなり始めて陸に着いた時、俺はある感覚が頭に入った。   隠力だ。しかもこの感じは初めてじゃない。俺が会った事がある隠力者の気配だ。   「宗吉?」   「一応、警戒しといて」   大剣を前方に構え、周りを睨み続ける。相手は上手いこと隠圧を小さくしている。場所の特定が難しい。   向こうもこちらに気付いている。にじり寄るような動きだ。   草村から音がし、俺は握る手に力を入れた。   「助かり……ました……」   「若菜ちゃん!?」   かすれた声を出しながらそのまま前のめりに倒れる。   まさか重傷でも負っているのかと思い、急いで抱き起こす。   「お腹……」   「腹部を怪我しているのか?」   「お腹……すきました」   「えぇ~」   外傷はなかった。若菜ちゃんが言っているように、本当に腹を空かせているだけのようだ。   色々と事情を知りたいところだけど、まずは夕飯からか。  
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