第二十三章 ミヤコ救出作戦(中編)

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「いや~、餓死するかと思いました」   多めに食料を用意しておいて正解だった。こういう時に自空間は便利だ。重量関係なく持ち運べる。   「若菜、無事でなにより」   「クロ、お久しぶり。宗吉さんと会えてよかったね」   クロとは面識があるのか。とすれば、若菜ちゃんは蓮や流人と一緒に万国に来たってところか。   約四年ぶりになるが、姿形が全然変わっていない。今クロが着ている制服を着れば、間違いなく学園の学生で通る。   「俺には事情がよくわかんないんだけど、若菜ちゃんはどうしてここに?」   「最初は蓮さん達と宗吉さんや闘刃君を捜すために。その経緯でクロと知り合いになりました。それで、一緒に境界を渡ろうとした時に、誤って落ちちゃいました」   あの断崖絶壁に落下して助かったのは凄い。吸い込まれたら二度と帰って来れないと言われている境界なのに。 「よく助かったね」   「闘刃君のおかげですよ。……あ、私闘刃君を捜してるんですけど、宗吉さんは知らないですか?」   これは……正直に話すべきなのだろうか。闘刃は理由があるにせよ、今の所敵になっている。   若菜ちゃんにはきつい事かもしれない。   「あの、若菜ちゃん」  「知ってますよ。闘刃君がデュランの味方になった事。でも……違います。単なる勘なんですけど、何か違うと思うんです」   ……その辺りは俺も同感だ。今の闘刃は何かおかしい。敵対しているのにまるで敵じゃないような感じがする。  
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