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しかし偶然見つけたとは言っても、このまま若菜ちゃんと第二研究所まで同行するのは如何なものか。
「……若菜、私達は今から研究所に行く。私が外から、宗吉が中から攻め込む。でもできれば宗吉を単独で潜入させたい」
「足手まといにはならないよ。もしそうなったら見捨ててもいい」
もう学園にいた頃の彼女ではないようだ。隠力の力強さを感じる。精神的に充実している証拠だろう。
クロも俺の方を見て小さく頷く。
「若菜ちゃんは中間を引き受けてもらおう。なるべく敵の目を俺から離してもらいたい。俺の位置を把握しつつ動けるのは若菜ちゃんしかできない」
高い感知能力と素早さを持った彼女には所謂引き付け役……囮をやってもらう。
危険な役回りだが、それくらいの気概がないと連れて行けない。
「わかりました」
若菜は快く承諾してくれた。元々蓮が連れて来た隠力者……
「蓮が敵になったってのは知らない……よな?」
「そ、そうなんですか!?」
身を乗り出してこちらに近付く。何故かクロがそれを手で制した。
「話すと長い。今は状況が色々と複雑でな、何と説明してやればいいか」
「蓮花はガデスに残る過去の師の姿を重ね、敵対関係に変わった」
「それって、まさか源蔵さんの事ですか?」
「そう。ガデスってのはデュランが造った究極の魔生物で、源蔵の遺伝子を持っている。蓮が向こう側についた理由だ。流人は事態を重く見て羅国へ帰国した」
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