第二十三章 ミヤコ救出作戦(中編)

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次々と円周上にいる魔生物を弾き飛ばし、また同時に焦がす。   彼女はこんなに強かったのか。   「翼を休めている場合か?」   「!?」   あの特徴的な金音が聞こえ、突風が周りを覆う。   フードで隠れた顔に錫杖。そしてこの領域。   「あなたが出てきたということは研究所は近くにあるということ」   「何処で嗅ぎ付けたかは知らんが、貴様から来るのは都合が良い」   ザードは錫杖を再び鳴らす。すると風に炎が混じり、熱波が周囲の風の壁から私に向かってくる。   一旦避けられたはいいが、不規則にそれは全包囲から襲い掛かる。   攻撃する暇もない。それに回避できる範囲も限られている。   「クッ!!」   ついに可動限界を超える炎の渦に巻き込まれる。しかしその瞬間、両手の甲にあるコクリュウの瞳が強く光った。   「これは……」   コクリュウが初めてその声を表に出し、大きく叫びを上げる。   大地を揺るがすような反響は炎の渦どころか風の結界すらも消滅させる。   「竜の呼応か。どうやら貴様はコクリュウに対等であると認識されたようだな」   ザードは今の勢いでフードが取れ、素顔があらわになる。   入れ墨か何かだろうか。奇妙な形をした影が顔についている。それにまだ若い。青年に近い気がする。   「これで遠隔攻撃は貴様には意味がないな」   錫杖から青白い光の刃を出し、さらに錫杖の部分が短くなる。まるで光り輝く剣のようだ。   「知っているか?魔生物には魔生エネルギーというものが存在する。魔生物の力の源だ。これは人間を取り込む事で得られる」   「だから魔生物は人間を……」   三大欲になっているのはそういう背景からか。
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