第二十三章 ミヤコ救出作戦(中編)

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「魔生エネルギーを得て生きているのは貴様も同様だ。これは俺達には欠かせないモノ」   つまり魔生エネルギーが完全に無くなれば魔生物も魔生人も死んでしまう……。   予想はしていたが、やはり魔生物は例外なく人間を喰らわなければ長く生きられないという事か。   「勘違いしてもらっては困る。だからと言って俺は人間を喰らうなどするつもりはない。上級魔生物にとって人間とは下等なる存在。それを内在させるなど俺のプライドが許さん」   「じゃあどうしてデュランに賛同する?」   「人間が魔生物を迫害するからだ」   ……それは否定できない。誰しもがより強い生物には畏怖し、排除しようと思う。   「貴様こそデュランに刃向かって何になる?殺した先にある未来の結末は俺には容易に思い浮かぶ。貴様は見据えきれていない」   「私は宗吉と一緒に居られたらそれでいい。それが……茨の道であっても」   そうだ。私が生きる道は並大抵の覚悟ではいられない。もとよりデュランを殺すと決めた瞬間から長く生きるつもりもない。最後の時まで宗吉と共にいられたら私はそれだけで十分だ。   「茨ではない。歩く先にあるのはまさに地獄だ。貴様はそれで構わないと言うが、宗吉はどうだろうな?」   「……っ!!」   黒爪と錫杖の剣が重なる。これ以上ザードに喋られたら私自身がぶれてしまいそうになる。   だがそれを見破らない奴ではない。   「図星か?貴様らしくない攻撃だ。自覚症状が出始める頃合いだろう。いつまでも隠し通せるモノではない」   「黙れっ!!」   近距離からグランドバスターを放つ。しかしそれは錫杖の剣で分散される。   「貴様は宗吉に重荷を背負わせる気か?その苦しみ、わからんわけでもあるまい」  
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