第二十三章 ミヤコ救出作戦(中編)

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彼は魔生人としての私も、人間としての私も好きだと言ってくれた。だったらそのどちらも残しておきたい。   「愚かな奴だ。魔と人の狭間にすがる貴様は半端者以外の何者でもない」   「半端な存在だから得られたものもある」   黒爪を消し、コクリュウの瞳が光る。そして両手の手首を合わせ、横に手を開く。   ダブルグランドバスター。それも威力最大だ。   「そんなでかい攻撃は俺には当たらん」   「……」   しかし私は放った。ザードが言ったようにグランドバスターは当たらない。だが避けられたわけではない。逆方向に向けたからだ。   「!?」   ダブルグランドバスターは反動が尋常ではない。地上でやらなければ当然踏ん張りが効かず、放った方向とは逆の方向で力が働く。それは私が飛ぶよりもはるかに速い。   当然ザードよりも。   「行かせるか!!」   逆風が邪魔をする。しかしそれは私の速度を遅めない。それほどまでに勢いは強い。   そして地上に着く瞬間、コクリュウの力を拳に集約させ、バスターブレイクを上回る衝撃波を周囲に放った。   それはとてつもない威力を発揮し、半径百メートルにある物体の全てを消散させた。   周辺にいた魔生物を消し去るのもあったが、本当の目的は別にある。   一つは魔生物への威嚇。もう一つは若菜への目印がわりだ。   「研究所に向かうものと思っていたが……」   ザードが追い付いてきた。そろそろ誘導に気付く頃合いかもしれない。だからこうした。   「その魔生物がボス?」   少し遅れて若菜が到着する。今、この地点からは私の目で研究所を確認できる。   あとはどれだけ時間を作れるか。  
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