第三章 いざ万国へ

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結局魔生物には出くわさないまま万国のフラガに到着した。   港町とあって海産物の売り物が多く目につく。でも何を話しているのかはさっぱりわからない。   もう一つ泪から貰った万国語翻訳も含めてどちらも役に立ちそうだ。   「物資を降ろし次第、私は森国に戻ります。蓮さん、流人、若菜。生きて帰還して下さい」   頭を下げ、翻して船の方に歩いて行く。   乗っている時はまだ旅行気分だったけど、こうして他国に来ると実感する。私達は捜索しにきたんだと。   「地下に列車が走っている。まずはそちらに行くとしよう」   地図を片手に蓮さんは物おじせずに地下の駅に向かう。   フラガは、というよりは万国は、か。建物や人を見る限り文明は私達の国に近い。人種も特徴的な何かがあるわけじゃなく、服装も割と似ている。   私も無言を徹していたら外国の者だとは思われないくらいだ。   「若菜ちゃん、若菜ちゃん」   流人君が小声で話しかけてくる。羅国語はなるべく聞こえないように、との蓮さんからの言いつけだ。   「なんかさ、想像よりも平和じゃない?長閑っていうかなんていうか」   「私も思った。もっと閑散として殺伐している雰囲気かと予想していたけど……」   魔生物って脅威ではない?どうも拍子抜けする。  
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