第二十四章 四年振りの帰国(前編)

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両方の腕に腕輪がかけられる。その瞬間から隠力が発動できなくなった。ただ、感知はできる。なるほど、これは隠力を外界に出さなくする装置の一種か。   「デュランとやら、総務大臣がお見えになる。来るがよい。だが闘刃の同席は禁じる。たとえ隠力が使えなくとも何かあるのが『闘刃』という隠力者だ」   俺をかなり警戒しているようだ。だがその方がデュランにとってやりやすい。   デュランとは一度別れ、帝国城内にある一室に俺は案内された。そこには懐かしい面々が顔を揃えている。   流人、京子、泪、双子妹、颯。かつての隠力者達がいた。   「四年振りの俺に尋問か何かをするつもりか?」   「闘刃さん……」   話しにくそうに流人が呟いていると、泪がゆっくりと立ち上がり、俺を見据える。   「流人から大体の事は把握している。今ならあなただけ。魔生物を創造した者に協力している理由を教えて」   妙に険悪な雰囲気かと思えば、そんな事か。   「俺は魔生物が悪とは思っていない。むしろ人間を喰うんだから都合の良い存在だ。だから協力している」   「てめぇ、魔生物は隠力者さえ喰うかもしれねぇってのに……」   京子は苛立っているらしい。それも事実だ。隠力者も肉体的には人に分類される。   「……闘刃が言うのも一理ある。僕も人間は嫌いさ。けど、今を生きる者達の平和な世の中を乱す魔生物というのは如何なものか」   颯が短剣を上に放りながらそう言う。   「別に乱そうとはしてない。今日デュランが来たのはそういう事情だ」   と、建前はそうだが、この様子だと一悶着あるな。帝国の総務大臣室の方角からは……隠力が一つ。おそらく禅だけだ。   少し揺さぶりをかけておこう。
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