第二十四章 四年振りの帰国(前編)

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「流人からこれは聞いたか?今魔生物の頂点には源蔵の遺伝子を引き継いだ奴がいる」   流人を除く全員の目が驚きを表す。あるいはと考えていたが、流人は言えなかったみたいだ。   「蓮がこちら側にいるのはそれが理由だ。泪、京子、颯。お前達のかつての主を見てみたいとは思わないか?」   明らかに動揺している。そもそも国内の隠力者で最も信頼されている蓮があっさりと寝返ったわけだ。気にならないはずがない。   「あれは源蔵じゃない!!別の生物だ!!」   流人は言い聞かせるように声をあらげている。そうでもしないと自制がきかなくなる。そう伝わってくる。   「そうだな。名はガデス。体格は人間離れ。おまけに魔生物。源蔵じゃない。だが、それは会ってみても同じ事が言えるか?」   全員が黙り込んでいる。それくらいに隠力者にとって源蔵という存在が大きずきるんだ。   ……動きがあったか?禅の隠力が発動している。   「!?」   爆発。総務大臣室の所だ。会議は中断か。   「今のは一体……!?」   この部屋は隠力者の集まる場所。当然武器の類はある。手近にある剣を直ぐに持ち、部屋から飛び出る。   「クッ……颯、泪!!」   後ろから足止めに自信のある奴らが来る。俺は迫り来る颯の影を跳躍しながら避け、総務大臣室に急ぐ。   だが自操力を持つ泪はやはり速い。階段付近で追い付かれてしまった。   「ハッ!!」   泪の剣が斜めから振り上げてくる。真後ろに跳び、踊り場まで下がって回避すると同時に次撃が来る。完全な振り落としだ。  
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