第二十四章 四年振りの帰国(前編)

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だかそいつを待っていた。   俺はポケットから薄板を取り出し、腕輪と手首の間に差し込んでその腕輪で剣を防御した。   腕輪は切れなかったものの、一発で半分程が削られる。   「泪、知ってるか?反隠力装置はまだ完成度が低い。これぐらいの傷が入ると……」   片方の手に偽剣が生成される。使えるのは片腕だけ。両方が使えないと炭素結界との両立は無理だ。しかしそれは俺しか知らない事実。   現に泪は勢いを殺している。   そして隠力が使えるようになればこんな事もできる。   「動けば撃つ」   袖から隠していた拳銃を出し、それを泪に向ける。禅は隠力さえ封印しておけば大丈夫という先入観にはまってくれた。   「下にいるのも隠力を使うなよ。使えば撃つ」   さらに便利な事に帝国にいる隠力者達は俺の事をよく知っている。   闘刃は冷酷な奴だから容赦しない。   それが頭の中に入っているはずだ。   上で激しい音が響いている。鞄の中に隠れていたシーザが戦っているんだろう。   「闘刃、何故邪魔をする?」   「邪魔?違うな。俺はデュランと総務大臣を一対一で話させたいだけだ」   シーザにはあらかじめそういう作戦を伝えてある。   「魔生物は万国だけでは収まらなくなりつつある。その関係だ。敵対するかしないか。デュランは俺と違ってかなり真摯な男だ」  
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