第二十四章 四年振りの帰国(前編)

7/13
前へ
/457ページ
次へ
しかしあの男ははっきりものを言ってしまう。魔生物に対して敵か味方か二者択一だ。敵ならば容赦なく襲う。勿論宣言してからだが。   「俺は万国に行って魔生物の善悪を見てきた。あれはこの世界を色んな意味で変化させる力を持つ」   「変化など必要ない。私は今の世界が好きだ」   「それは俺も同感だ。だが時は既に遅い。魔生物はこの世界にいる」   魔生物は二十年以上前から研究されてきた。防ぎようがない事象だ。たがら選択を迫られる。戦うか、協力をするか。   「だったら戦って魔生物を消滅させる。私達隠力者にはその力がある」   俺はその言葉にふとした笑いが起きる。間違ってはいない。その力は確かにある。   「何がおかしい」   「ほんの十年前まで内乱が生じていたこの国かが?総務大臣が変わったとはいえ、四年前にもいざこざはあった。この際言っておくが、必ず隠力者はまた利用される。使い勝手のいい人体兵器として」   そう、人体兵器。これがあるから羅国は他国に対抗できる。   帝国は隠力者を多く軍隊として採用している。その理由は明白だ。   隠力者はまだ若く、教育によって是正できる余地を残している。我が国のために尽力すべし。そうして愛国心を募らせ、使いやすいようにする。   帝国上層部は総務大臣以外何も変わっていない。
/457ページ

最初のコメントを投稿しよう!

25人が本棚に入れています
本棚に追加