第二十四章 四年振りの帰国(前編)

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急に窓硝子が割れる音がする。その一瞬の目配せが後手に回らされた。   泪は俺の拳銃を真っ二つにし、さらに高速で突きを放つ。それを片手の結界で防ぐ。しかし拳銃が壊れたことで颯達も上がってきた。   後ろ足で階段を昇り、三階へ移る。その瞬間泪の速度が加速した。   双子妹の風か。   結界は造れない。回避も難しい。結果、偽剣を生成し、相手の刃とぶつかり合う。   拮抗もしてられない。颯の影が伸びてくる。   偽剣を即座に消し、横へ跳ぶ。通路の入口に来たところで地面に軽い爆発を起こし、隠力の気配を抑えて通路を走った。   同時進行で禅の隠力を感知する。この状態は今でしかできない。時間も少ししか稼げないだろう。   三階にいる……か?物音は遠い。どうやら禅を総務大臣から引き離すために動き回っているみたいだ。   城の配置はよく覚えていない。向こうが有利だ。隠力が感知されなくとも構造上はさみうちされるかもしれない。   だったら隠す必要もないか。   通路にある窓から見える真下を確認し、止まる。背中に担いでいる剣は刀だ。鞘もある。なんとか受流剣も使える。   「鬼ごっこは終わり?」   「そうだな」   追ってきたのは結局泪と颯だけ。他は……総務大臣の所へ行ったか。   「あなたは危険思想を持っている。帝国を脅かす隠力者として捕縛する」   「魔生物に協力するだけでそれか。頭の堅い奴だな」   シーザと合流しないともう片方の腕輪は壊せない。   ……時間の頃合いはそろそろだな。
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