第二十四章 四年振りの帰国(前編)

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手に破壊エネルギーを集中させる。向こうは有り難いくらいに警戒している。牽制には重宝する。   俺はそれを窓に向けて放ち、躊躇わずに外へ飛び出した。   三階から落ちていく中、威力調整し、もう一度地面に放つ。爆風の反動と落下速度の帳尻を合わせ、足に負担なく下りた。   このくらいの高さからなら全身結界がなくても大丈夫だ。   ……近い。城の中庭にいる。俺の気配に気付いたか?   「捜しましたわ」   同じく三階からそのまま跳躍し、着地する。逆方向にいたのか。   「シーザ、これを壊せるか?」   「腕輪?いけますわ」   細く小さな刃物状に光を変化させ、上手く腕輪を切る。ついでにもう一方の機能を失っていたやつも外してもらった。   「よし。シーザは撹乱の役目を。派手に暴れてやれ。隠力者をおびき寄せるくらいに。ただ、総務大臣室はやるなよ」   「闘刃は?」   「デュランを連れ出す。匂いに気付いたら正門へ」   シーザと別れ、総務大臣室に急ぐ。早速破壊活動の音が耳に入ってくる。帝国の連中にその方向に皆くぎづけになり、何事かと窓から中庭を覗く。   隠力者が出張ってくるのも時間の問題だ。   「闘刃さん……」   二階に上がる途中で流人に出会う。逆方向から来たのでシーザを止めるためだろう。   「規則に縛られているな。流人」   流人は攻撃してこない。というよりはできない。帝国城内の隠力行使は特例以外は禁じられている。城に害を及ぼす隠力は使えない。  
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