第三章 いざ万国へ

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駅の列車も地下にあるという事だけが特別で、私達の国の列車とさほど変わらない。   こっちの貨幣はルピー。羅国から支給されたお金は森国で万国のものに換えたらしく、全員で三十万ルピーある。価値はわからないが、一月分くらいの量だと泪は言っていた。   駅員と蓮さんが何やら話している。暇な私は指先でコインを回すという我ながら器用な事をしていた。   これも電位の力を細かく制御するための一種で、慣れればいつまでも回すことができる。   特に意味はない。   「直ぐに来るそうだ。ただ、首都は終点だから二時間程かかるらしい」   ……疼く。早く戦いが起こったりしないのか。   「っと」   コインが指先から離れ、それを空中でなんとか掴む。   駄目だ。集中力がきれると制御が変になる。   「お、来た」   汽笛を鳴らして列車が速度を落としながら駅に近付いてくる。切符も持っているし、後は首都ゼルグランドに行くだけ。   中に入り、武器を背負っているので壁側に立つ。人はそれなりに多いが、詰め込まれるほどじゃない。   私の武器である槍は特注品で、電圧によって刃を外側に出し、槍として形成するようになっている。見た目はただの棒だ。故に怪しまれるそぶりもない。   しかし考えてみればこの国は魔生物がいるので武器の所持もなんら不都合がない。まぁどちらにしろ刃物だからこの方が安全だろう。   「……?」   今、誰かに見られていた?蓮さんや流人君とは気配が異なる何か。   一瞬だったのでそれは既に消えている。   何だったんだろう?  
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