第二十四章 四年振りの帰国(前編)

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話し合いは終わった。ここからは忙しくなる。シーザが隠力者を引き付けている間に帝国から脱出しなければならない。   「シーザは私の力で呼び寄せよう」   しかしデュランは悠長に城内を歩きながら城の外へ向かう。   ここが隠力者の根城だとわかって行動しているのか不安になる。   「怪訝な顔をしなくてもいい。総務大臣は私を捕らえなかった。隠力者とやらは命令には忠実なのだろう?」   「確かにそうだが……」   その時白い鳥が階下から飛んでデュランの元へやってくる。続いて隠力者達も。   「君達が隠力者かい?」   泪、颯、禅、流人、京子、双子妹。こうも知り合いばかりに出くわすとは。   「その鳥は何者?魔生物?」   剣先をシーザへ向け、俺達に問う。   「だとしたらどうするかね?」   また余計な事を。泪は斬ると言わんばかりに突っ込んでくる。俺とデュランはそれを避けるようにして二手に離れ、同時にシーザが人型へと変化する。   「シーザ、デュランを連れて例の場所へ」   「了解しましたわ」   高速で飛び出し、一気に下まで下りていく。それを追おうとする者は誰もいなかった。物理的に間に合わないのは誰にでもわかる。   残された俺はこれだけの隠力者を相手にしなければならないわけだが……   「デュランもシーザもいなくなって俺は自分さえ守っていればいい。お前達は反隠力もないまま俺を倒せるか?」   六対一。それでも負けるとは考えていない。
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