第二十五章 四年振りの帰国(後編)

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デュラン様は奥様を亡くされてから数十年間ミヤコに執着している。   いっそミヤコを始末してしまえばデュラン様も諦めがつくのでは……そう考えていた時期もあった。   だがそれは私の私利私欲だ。心の深い部分ではデュラン様のためではなく、私のためにやろうとしている。   「実はミヤコを捕まえるよう言ったのは私ではなく闘刃なんだよ」   「!?それは初耳ですわ」   「私はミヤコを縛るつもりはないよ。治療が終わり次第協会に返すつもりだった。うちには境界を越えられる者がいるからね」   しかし闘刃がそれを許可しなかった……。私はいまいちあの男が何を考えているのかよくわからない。   こちら側に協力してくれているのは助かってはいるが、何のためにだろうか?   「シーザもかい?私もだよ。彼は謎が多い。理想郷に賛同しているのは本当だと思うけど、それに反した行動をしているのも事実だね」   「宗吉やロゼお姉様を逃がした事でしょうか?」   結果的にそうなったと言ってしまえば追求できない。微妙なところを闘刃は渡っている。   「彼は中庸を求め過ぎているのかもしれないね。今日の交渉は決裂し、隠力者は人間と共に魔生物と戦う事を決めた。しかし闘刃君はそれを望んでいない。人間に利用されることが目に見えてわかるからね」   魔生物と隠力者が戦えば双方が甚大な被害を受ける。しかし今日帝国城にて隠力者と相対してわかった事がある。   隠力者にも魔生物同様強さに階級があるようだ。
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