第二十五章 四年振りの帰国(後編)

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かつては闘刃や宗吉、蓮花といった隠力者達を見てきて、私は隠力者が壮大な力を持っていると感じていた。   だが違う。彼らは隠力者の中でも飛び抜けて強いだけだ。帝国にいる隠力者らも決して弱いわけではないが、どこか見劣りしていた。   「デュラン様。この戦い、何事もなければ私達が簡単に勝つのでは?」   「その通り、良い視点だね。確かにこちらにはガデスに加え、蓮花君もいる。魔生物の数も多い。闘刃君も迂闊に人間に協力できないことを考えると、負ける事はない。シーザが言っているように何事もなければね」   その『何か』を今闘刃が行っているような気がする。疑心暗鬼かもしれないが、闘刃と完全に二手に別れたのもその一手ととれる。   「これは私の予想でしかないが、闘刃君は改革を行いたいのではと思う」   「改革……ですか?」   「そう。話によれば隠力者は昔人間と戦って勝ったらしい。しかし何故かまだ帝国の実権を握っているのは人間という。裏に隠された色んな背景がありそうだけど、彼はそれを変えたいようだね」   では魔生物はその変化をつけるための一材料。結構大きい『梃子』ではないかと思う。   「何にせよ彼は必要だ。強い『矛』と『盾』を持っている。私に実害が現れるまでは好きにさせておこうよ」   「仰せのままに、ですわ」  
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