第二十六章 ミヤコ救出作戦(後編)

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階段を注意深く下りていく。気配を少しでも感じれば擬似空間に避難しないと。   地下一階にはすぐに着いたが、気付いたことがある。   この研究所は案内図がない。   第二研究所は本当に隠し仕様になっているようだ。   ということは。   「…………」   やはりそうだ。至る所に監視用のカメラがある。最新鋭の警備制度を取っている。   まぁ、でも俺の擬似空間には意味のないことだ。   見つからないように行くには時間がかかる。手っ取り早く誰か一人を拘束して情報を引き出すか?   しかし末端の研究員がミヤコの場所を知っているとは思えない。   「…………」   地下一階に来てすぐの部屋に空間の穴を開ける。中には研究員らしき格好の人間が三人。誰かを人質を取れば……。   「!?」   隠力の気配!?しかもこれは。   「この辺で隠力が消えたか……」   直ぐさま空間の穴を閉じ、擬似空間に戻る。今の声と隠力の感覚、蓮で間違いなさそうだ。   蓮は研究所に残っていたのか。擬似空間にいれば隠力の気配は無くせるが、蓮は俺の隠力の感覚をよく知っている。少しでも外部との接触をすれば気付かれてしまう。   数分、ここで待機か。……蓮は真面目な奴だ。今もなお死んだ源蔵の事を思い、考えている。ガデスに仕えているのは贖罪の意味がある。唯一蓮が敵わぬ相手と見て敬っていた人間だ。   先導性があり、存在感がある蓮は師である源蔵を理想像として追いかけた結果の姿に過ぎない。  
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