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ここいらではっきりしておいた方が蓮のためかもしれない。
「蓮は誰のためにここにいるんだ?俺や闘刃のためか?」
「私は……師のために」
「そう、ガデスのためだ。それに幻なんかじゃない。遺伝子は記憶を受け継ぐ。羅刹流を使えるのが証拠。蓮は本音で動いたんだ。誰もその選択を間違っているとは言えない。今俺にやっている事、別にガデス自身が何か不利益を被っているわけじゃない。だから蓮は協力している」
「確かにそうだが……」
簡単に割り切れるわけもないか。これまで約十年間に渡って尽くしていた事だ。
「これだけは断言できる。ぶれると蓮は弱い。隠力は精神依存なんだ。……案内、ありがとな」
俺は背を向けたまま地下五階を走った。闘刃の言っていた座標はかなり近い。ガデスはミヤコの奪回阻止など絶対にしないだろうから、守っているのはいるとしてヤマのみ。
そしてヤマは聴覚で敵を察知する。
座標と一致している部屋の前まで来て俺は感覚的にわかった。ここはミヤコ以外、誰かいる。
部屋に入る直前、いやノブを回そうと手を添えた時、開けると同時に開いた方向へ身体を捻った。
その瞬間開け放たれたその扉から勢いよく鋭い突きが飛び出る。
壁を突き破り、大きな穴を空ける。両目を黒い鉢巻きで縛った男。
「これを避けるとは。流石は宗吉殿」
「匂いか」
聴覚だけじゃなかった。ヤマは魔生物だから人間に近い匂いもかぎ分けることができる。
戦うか、機を伺ってミヤコを救出するか。
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