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この狭い空間では俺が圧倒的に不利。それを覆して倒すというのも面白いが、俺の目的はヤマではなくミヤコ。
「逃げるが勝ち~」
「なっ!?」
俺は壁を空間移動し、ヤマが先程までいた部屋に入り込んだ。
部屋は薄暗く、物はほとんど置いていない。だがただ一つ、目立つものがある。
十字架に張り付けられたミヤコだ。
意識が朧げにしかないように見える。様子がおかしい。
「おやおや、油断していますよ」
ミヤコを背に俺は直ぐに大剣を自空間から出し、構える。
ご丁寧に扉からヤマが来る。俺も少々呆気にとられていた。
この部屋ならば多少の無理をしてもまともに戦えそうだが……。
「ミヤコに何をしたんだ?」
「彼女は私達が知らない情報を持っています。自白させるために色々とね」
まずい。早く治療を施さないとミヤコが危ない気がする。
俺はまず片手で空間圧縮を起こし、ヤマを一時的に閉じ込めた。そのスキに大剣で十字架につるされたミヤコを斬り外す。
「器用な能力ですが、どちらにしろ私を倒さない限り出られませんよ」
隠力で閉じ込められていてもヤマは余裕の表情をしている。
奴の言うことは正しい。俺は同じ隠力で別の二つを同時に使うことはできない。空間移動するためには空間圧縮を一度解除する必要がある。
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