第二十六章 ミヤコ救出作戦(後編)

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見極めが重要だ。空間移動で逃げるにはまだこの建物の内部に乏しい。   「私の刀捌きは自分で言うのもなんですが、速いですよ。あなたの空間移動が果たして間に合いますかね?」   「脅しかよ」   冷静に考えて背中にいるミヤコが攻撃される可能性がある。   記憶を辿れ。せめて地下の階段まででいい。擬似空間を。   頭の中で構造を創造し、そして擬似空間を発動させる。   一瞬にして周囲の背景が白黒の世界に変わり、ヤマもいなくなる。   おそらくヤマからすれば俺の姿が瞬時に消えたように見えたはずだ。   だが白黒の世界はいびつなものとなっており、不完全な擬似空間が作り出されている。   この維持は相当きつい。急がなければ。奴も先読みしているかもしれない。   部屋から出て曖昧な記憶の中を走る。   ミヤコは昏睡に近い状態で、意識はほとんどない。帰還するまで担ぎ続けなければならないだろう。   そうなると戦いはほぼできない。   ようやく地下の階段まで来れた。ここから先の道はない。擬似空間を作るまでには至れなかった。   外の様子を人差し指程度の穴で覗いてみたいが、奴は僅かな匂いでも感知できる。逆に位置を特定されると厄介なことになる。  
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