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「闘刃の差し金?」
「もし宗吉に出くわしたら案内をしろ。その後は自室に戻れ。……私は頼まれ事を請け負ったに過ぎない」
これで確定した。闘刃はミヤコを脱出させたい思惑がある。
しかし闘刃の目的が定まらなくなっているのも事実だ。
「いける?」
「当然。ヤマは私が食い止める。その隙に」
直ぐに蓮は部屋を出て階段へ向かう。俺も遅れないように走って後を追った。
一階へ上がり、出口付近に抜刀の構えをしたヤマが見えてくる。
蓮はこれ以上近付いてはいけないギリギリの場所で止まった。
「やはりあなたは裏切ると思ってましたよ」
「私はガデスの意思に従うだけだ。断じてデュランの配下ではない」
呼吸を整え、蓮の身体から白い光が放出する。羅闘気だ。どうやら全開で戦うらしい。
「お前は刀による結界がある。近接戦闘ではそこから退かすことはできない。だから……」
拳に重力をためている。何をするつもりなんだ?
すると蓮は俺に少し下がるような手振りをする。そして振り上げた拳を一気に地面に叩き伏せた。
「こ、これは……!?」
その衝撃は軽々と一階を支えていた床を破壊し、蓮とヤマは地下へと落ちていく。
引き付けておくという蓮の言葉は本当だった。
この時間を無駄にしてはいけない。俺は壁を空間移動で抜け、ついに外へと脱出した。
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