第二十六章 ミヤコ救出作戦(後編)

11/16
前へ
/457ページ
次へ
魔生物の気配はほとんどない。それもそのはず、亡きがらがそこら中に散らばっている。   若菜ちゃんの位置は……あった。それほど遠くない。   空間転移で別の隠力地点へ移動し、降り立つ。   「ハァ……ハァ……宗吉……さん」   肩で息をしながら槍を支えにして立っている。若菜ちゃんは相当無茶をしたんだろう。怪我はないようだが、精神疲労が酷い。   彼女の周りには数え切れないくらいの魔生物が転がっている。まさか全部?   どう見積もっても百くらいはある。   「動ける?ミヤコは助けたから離脱しよう」   「まだ……クロが……」   彼女が上空に指を向け、俺は目を凝らして眺めてみる。   何か二つの物が戦っている。ぶつかり合いながらも均衡した戦いが見てとれる。   「いつから?」   「もう一時間くらいは。でもどちらも本気は出してない感じだった。地上で戦ったり上空に行ったりの繰り返しで……」   「なるほどね……」   俺が外に出たことに気付いてくれないだろうか。時間に猶予はない。これはデュラン達がいない間にしかできない。   「フッフッフ、騒がしいから外に来てみれば」   しまった。背後からの気配に俺達は直ぐさま素早く後退する。   「甦ったのを言伝に聞いて安心したぞ。やはり強き者は死ぬべきではない」   ガデスが不気味に笑っている。源蔵の遺伝子を受け継いでいるようだが、性格まで似通っている。この戦闘狂っぷりは今は色々とまずい。  
/457ページ

最初のコメントを投稿しよう!

25人が本棚に入れています
本棚に追加