第二十六章 ミヤコ救出作戦(後編)

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この男に勝てるかもしれない方法は二つある。一つ目は黒手で存在を消滅させること。だが俺は以前、自分の心臓の位置を変えることができる魔生物を実際に見ている。加えて黒手は手の平しか範囲がない。   間合いに入って触れる事すら至難の技なのに、それを連続してできるものなのか。   では二つ目の虚数の黒衣はどうか。全ての攻撃を防げる反面、俺自身がこの大剣で仕留めなくてはならない。あの重厚な肉体に傷をつけられるか甚だ疑問だ。   それに虚数の黒衣は制限時間がある。冷静に考えれば目的は当に達している。離脱を頭に入れておかないと。   「宗吉よ、お前はまだ何かを隠している。それを出さんと前の二の舞となるぞ」   ガデスが荒々しい呼吸と共に羅闘気を練る。あの身体は全てが最強の凶器になり得る。俺の単純な力では無理だ。黒手と空間移動を駆使して戦うしか道はない。   「行くぞ」   ガデスが強引に俺を真上から叩き潰しにかかる。たった一歩がこれほどの距離を詰めるとは。   迫り来る巨大な拳が地に刺さり、隕石が落下したかのような衝撃が伝わる。後ろへ跳んだが短い。アリの巣になった地面に落ちてしまう。   その中心に降りたガデスは半球となった地を物ともせずに接近してくる。   「羅闘旋光脚!!」   まさしく丸太のような足蹴りが輝きを放ちながら猛追する。   しかし回避は難しくなかった。地面が半球状となっているのを利用し、俺は滑るように避けた。   またもや破壊される荒れ地。規模が規格外過ぎる。  
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