第二十六章 ミヤコ救出作戦(後編)

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‡   邪魔が入ってしまったか。魔生人クロ……奴が宗吉を実質動かす鍵となっているのは間違いなさそうだ。   「ザード、追うのは止めておけ」   「御意」   ミヤコが奪還されるのはデュランの計画に沿っている事象だ。既に手に入れたい物は手元にあるらしい。あの男の考える事はよくわからぬ。   「キング、目が……」   「気にするな。眼力は片目あればいい。これぐらいのハンデがなければ奴らは正面から戦って来ないだろう」   だが宗吉は大きなミスを犯した。もうあの技は俺には通じないだろう。   「ザードもクロに対して本気ではなかったな」   「それもデュランの命令の一つ……キングもご存知では?」   確かにそうなんだが……。何故これほど回りくどいやり方をするのか。デュランが人間を嫌い、死滅させたいと考えているのならば、堂々と我らが攻撃を決行すればよい。   「ザード、お前はデュランの考えが読めるか?」   「いえ、しかし今のところ支障はありません。……が、キングの怪我は予想外かと」   そうだろう。俺が研究所の外に出ることは禁じられている。デュランも俺の戦闘欲には負けたか。   「いずれ宗吉はこちら側に来る。クックック」   いつまで魔生物の敵となるか見物だ。魔生人と人間の行く末に道はない。
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