第二十七章 秘密

4/9
前へ
/457ページ
次へ
「黒手は空間圧縮の超強化版。自分の手の範囲でしかできないけど、そこにあったモノは全て無になる。眼球も同様。再生を促す細胞すらも消滅させたから、片目は戻らない」   「……隠力者が恐れられているのがわかった気がする」   消滅とは破壊の極限地点。再生に対抗しうる唯一の方法だ。でもこれで彼は上級魔に狙われてしまうのかもしれない。上級魔の強さはその知能もそうだが、高い再生能力に関係が深い。   彼は強いが肉体的には人間と変わらない。一回に受ける傷がこのような感じならば……。   「私は宗吉といたい。だから宗吉は自分の命を最優先して欲しい。私は一瞬で死ぬような攻撃をされない限り死なない。三つも古代生物を持っている利点でもある」   「確かにな……デュランを倒すことが目的。助言をありがたく頂戴しておきます、可愛い相棒さん」   よく宗吉が言っているが、私は可愛いのか。……そうなのか。   「あら、お邪魔かしら?」   メイデンが治療室の扉の前で立ち止まっている。   そういう雰囲気に感じとられたらしい。しかしこんなこと前にもあった気がする。   「大丈夫。何かあった?」   「ミヤコが意識を取り戻したわ。お疲れのところ悪いけど、呼んでるわ」   デュランの事を聞けるチャンスだ。そう思い、私達は直ぐにミヤコの病室へと急いだ。
/457ページ

最初のコメントを投稿しよう!

25人が本棚に入れています
本棚に追加